『Expedition33のGOTY』に喜べない日本人、根底にある島国の意地悪さ

・評価よりも「納得感」を求める文化

日本人は、結果そのものよりも「そこに至る過程」や「みんなが納得できる理由」を重視する傾向が強い。GOTYのように、海外メディアや審査員の価値観で決まる賞に対して、「自分たちの基準」とのズレを感じると、その違和感がそのまま反発に変わりやすい。

『Expedition33』は挑戦的なゲームデザインや物語性が高く評価された作品だが、それが必ずしも日本で主流とされてきたRPG観やゲーム体験と一致するわけではない。このズレが、「理解できないものへの拒否感」として表に出てしまうのだ。

・島国ゆえの内と外の線引き

日本は長い歴史の中で、地理的にも文化的にも「内」と「外」をはっきり分けてきた島国である。その影響は現代のエンタメ受容にも残っている。海外で高く評価された作品に対し、無意識のうちに「外の価値観が押し付けられている」という感覚を抱いてしまうことがある。

その結果、「自分たちが選んだわけではない成功」を素直に祝えず、どこか意地の悪い視線で欠点探しをしてしまう。これは個人の性格というより、集団心理としての反応に近い。

・批評精神と意地悪さの境界線

もちろん、批判的に作品を見る姿勢そのものが悪いわけではない。健全な批評は文化を成熟させる。しかし、『Expedition33』に向けられる一部の言葉には、「評価する側でありたい」「持ち上げられているものを引きずり下ろしたい」という感情が混じっているようにも見える。

それは批評ではなく、評価されている事実そのものへの反発だ。この感情こそが、タイトルにある「島国の意地悪さ」と言えるのかもしれない。

・喜べないこと自体を自覚するということ

『Expedition33』のGOTY受賞をどう受け止めるかは人それぞれだ。ただ、日本人がなぜ素直に喜べないのか、その背景にある文化的・心理的要因を一度立ち止まって考えてみることには意味がある。

「自分たちの好みと違うものが評価される」状況にどう向き合うか。それはゲームに限らず、これからの日本社会が国際的な価値観とどう折り合いをつけていくか、という問いにもつながっている。