小3から小6までの4年間に任豚のメガネ6本を壊した上に最後に植物人間にしてやった男 俺

卒業まであと少し、やっと俺と別れられると安堵していたニシオを階段でバックドロップしてやったら打ちどころが悪くて植物人間になっちまったｗ
意識はそのまま戻らず、救急車で病院に運ばれたが、医師たちは彼が「遷延性意識障害」に陥ったことを告げた。
「脳に深刻なダメージがあります。回復の見込みは…ほとんどありません」――その言葉は、母親の心に突き刺さり、世界が一瞬で真っ暗になった。

病室に横たわるニシオの姿は、生気を失ったかのようだった。管でつながれた体、機械的に規則正しく動く呼吸。何度呼びかけても、微かな反応すら返ってこない。
医師たちは最善を尽くしてくれたが、脳への損傷は深く、回復の可能性は絶望的だと断言された。

それでも母は、諦めきれなかった。「いつか意識が戻るかもしれない」――その一縷の希望を胸に、日々の介護が始まった。

事故から数か月が過ぎ、ニシオの体は病院から自宅へと戻された。リハビリ施設もあったが、母は自分の手で息子を見守りたかった。
介護は想像を絶するほど大変だった。植物状態の家族を抱えるというのは、時間が止まったような日常を生きることだ。
夜も昼も、気が休まることはない。ニシオの体を動かし、手足の筋肉が完全に失われないようにするのも母の役目だった。

家の中で、ニシオは車椅子に座ったまま、無表情で空を見つめるような状態だった。彼の目には乾燥を防ぐためのラップがかけられており、2時間ごとに目薬をささなければならない。
顔はわずかに右に傾き、口は半開きのまま。かつての元気だった姿は見る影もない。だが母は、諦めない。少しでもニシオが元の生活に戻れる可能性を信じ、日々を過ごしていた。

かわいがっていたハムスターのケージを枕元におく。
「ほら　ハムヒコも応援しているよ。はやく元気になって」
と毎日、声をかけつづけた。
そんな試みもむなしくハムヒコは寿命を迎えて死んだ。

それから、夫との関係も壊れた。現実を見ろと言う夫に対して、母はわずかな希望にしがみついていた。「回復なんて無理だ」という冷たい現実を突きつけられるたび、夫婦の間には溝が広がり、ついに夫は家を出て行った。
彼は、別の女性を作り、違う人生を歩むことを選んだ。母は一人、家に残り、泥人形のように動かない息子と共に暮らし続けた。

「何か奇跡は起こるかもしれない」――母は藁にもすがる思いで、怪しげな治療法や祈祷師に頼った。インターネットで知った「回復例」に期待し、高額なお金を払い、効果のない薬を試したこともあった。それでも、何も変わらない日々が続いた。

ある日、いつものように定位置、居間で車椅子の上にいた。相変わらず頭を右に傾けて口を半開きにしている。
母はテレビを何気なくつけていた。偶然、任天堂のCMが流れた。
そのとき、ニシオの半開きの目の瞳孔が大きくなったように見えた。
そういえばニシオは元気だった頃、任天堂のゲームが大好きだった。
「ように見えた」思い込みかもしれない。でも母にはそれが息子にはまだ心があるというメッセージであるかのように受け取った。

その日から母親は、息子のためにゲームの音楽や映像、効果音を流すようになった。
昔、ニシオが夢中になって遊んでいたゲームの音を耳に入れれば、何か反応があるのではないか、心が再び目覚めるのではないかと期待していた。
毎日、同じ場所で、同じように、何も変わらないニシオ。しかし、ほんの一瞬でもいい、どんな小さな変化でもいい、母はそれを求めてやまなかった。