プロレスごっこで任豚にバックドロップかけたら植物人間になった\(^o^)/

半年ぐらいしてニシオの両親の強い希望で齋藤先生と俺・山岸・曽我部の３人でニシオに会いにいった。
両親は３人が息子といつも遊んでいた仲の良い友達だったと認識しているようだ。
車椅子の上で目と口を半開きにして頭を右に傾けていた。２時間に１回目薬をささないといけないらしく、両親が介護するのは大変そうだった。
呼びかけても反応はないが「ニシオ、早く元気になってね」と声をかけ、クラス全員の寄せ書きを置いてきた。ファミコンが好きだったニシオへみんなからのプレゼントで、カービィぬいぐるみを置いてきた。
とても良いことをした。

卒業式には両親が車椅子を押してニシオを連れてきた。卒業証書受け取りのため壇上に上がるのは大変なので、ニシオのときだけ校長が降りてきた。
俺、山岸、曽我部の３人が「ニシオ、君はいつまでも僕たちの仲間だよ」と語りかけると両親は嬉しそうにしていた。

ニシオはしばらく寝たきりののち二十歳になる前に亡くなったそうだ。
ドイツ留学が決まっていたニシオの兄は経済的な負担と弟の介護のために留学を諦め、医師になる夢も諦めて、今も老人ホームで介護士として尊い仕事をしている。

卒業して３０年、同窓会をやったら恩師の齋藤先生も来てくれた。
先生は退職後も青少年になぎなたを指導されているそうで、あの時と変わらない人格的に優れた教育者がそこにいた。
ニシオの話題は誰一人出さなかった。